決して自慢ではないけれど、

家で手紙を一通一通、丁寧に開くと

中には、どこどこで待っています。

とかかれているものと、

受けてくれるかな、僕の下駄箱に返事をいれてください。

など、様々だった。

一応手紙を種類別に分けて、今日中の人もいたので、

私服に着替えて、指定場所に向かった。

指定場所は、近場の公園だった。

そこにいくと身長の高い男の人が、振り返って私を視界にいれた。

ドキッと胸がときめく感じだった。

近い表現で言えば、好きな芸能人に出会えたとき感じに。

かなりかっこよくて、私なんかにはもったいないくらい。

目があってからも、シーンとしていて風の音も耳に届くくらいだった。

「あのっ!上川 佑哉っていいます。

一目惚れしました。よかったら、付き合ってください!」

私は目の前にいる佑哉さんの事を、何一つ知らないのに

付き合うなんて、逆に失礼だ。

「ごめんなさい!私、恋っていう感情がわからないので...。

気持ちは嬉しいです。

私なんかよりももっといい女の子に、恋してください。」

「そっか」とぼそっとつぶやいた佑哉さんは、

ごそごそっと取り出したスマホで、

「連絡先交換しない?」と声をかけた。

でも私は、あいにく携帯を持っていないので

「携帯、持ってないんです」というと、

驚いた表情で、

「まじ!?今の高校生に、スマホを持ってない人いるなんて驚きだな」と頭をかいていた。

都会の人は、みんなスマホを持っているのか。

世界は、私の知らないうちに進んでいる。