新幹線の中で、結が、海翔との結婚が破談になった経緯を説明してくれた。

両家顔合わせの席で、結の思いに気付いた心理学准教授のお姉さんが、宮本さんを説得してくれたらしい。

「それが結のためだと思ったから、しただけ
だから、気にしないで。
それより、さっき、絆が眠ったところだから、
静かにお願いね。」

と姉は人差し指を口元に当てた。


俺たちがリビングに入ると、フラットにしたハイローチェアに寝かされた絆と、それを眺めるお父さんらしき人がいた。


「お父さん、ただいま。
こちら、小川天さん。
天、父と絆。」

と結が紹介してくれた。

「はじめまして、小川天です。
お目にかかれて嬉しいです。」

俺は頭を下げる。

「結の父です。」

お父さんはそれ以上何も言わず、また絆を眺めていた。

まあ、娘の破談の原因がやってきて、愛想よくしろって言っても無理だよな。