俺たちがいたベンチには秋の冷たい風に負けない程に暖かい陽だまり。 そこにどこからともなく一羽のカラスが飛んできて、ジッと俺たちの後ろ姿を見つめていた。 まるで見守っているかのように。 そこに、ひらひらと最後の銀杏の葉が秋風に吹かれ舞い落ちた。 やがてその葉は再び風に舞い上がって空へと消える。 それをジッと黒い瞳で見つめてから、カラスは青い空へと飛び立った。 秋風に舞う葉のように――――。 fin.