顔の真横に叩きつけられた俺の拳をちらりと見やり、それでも表情を変えずに茜は言い返してきた。 「殴ってみたら?構わないわよ、……まあ、あなたにそんな度胸あるようには見えないけど」 くすっと笑った茜を見た瞬間、我を忘れた。 無意識に手が動いていた。 パンッ! 乾いた音が薄暗い階段に響く。 その刹那、小さな声。 「螢………?」 ハッとして声のした方を見上げれば、屋上へ続くドアを開けた颯人が俺達を目を丸くして立ちすくんでいた……。