…………っ!! 思わず彼女を振り返ってしまった。 気付きたくもないことに、気付いてしまった。 同じ、香り……。 颯人を抱きしめたあの時に嗅いだ、ほのかに甘い、あの香り……。 たった今まで暖かかった胸の内が、ひんやりと冷たく凍えてしまったかのよう。 立ち止まってしまった俺の足元を、秋風に吹かれた落ち葉が小さな渦を巻いてカサカサと舞っていた……。