「せっかく、長い時間かけてここまでみんなできたのによー」


「ほんとだよなー。こんなとここないで普通に彼女とデートしたかったー」


「なー。俺ら別に野球好きでもないし」



口々に文句を言い始める男子生徒たち。



「あー、暑い。暑い中応援しにきてんのに、負けるとかありえないんだけどー」


「あー、汗で化粧とれちゃうよ」


「ほんと、夏に試合見るとかバカみたい」



こちらも口々に文句がでてくる女子生徒たち。

あたしのなかで、なにかがプツンとキレる。



「グラウンドでみんな頑張ってるのに、なんで文句ばかりいうの!?」



あたしが叫んだ瞬間、さっきまで文句で溢れていた観客席が一瞬にしてシーンとなる。



「グラウンドは、ここの席の何倍も暑いのに!そのなかで頑張ってるし、甲子園に応援にこれただけでもすごいことなのに!どうして、ちゃんと応援してあげないんですか.......っ」



言いながら、涙が溢れてくる。
だって、悲しすぎる。
毎日、毎日汗水流して練習して。
手に豆をつくりながら、我慢して投げてる匠のこと知っているから。