如月先生はますますの困惑顔で呟いた。

「そうですか。
 恋は劇薬なので…弱りましたね。」

「恋、ではないです。」

 私が否定しても如月先生は微笑んで指摘した。

「真野さんが違うとしても彼の方はそうなのでしょう?
 やはりそれも劇薬です。」

「ダメ…でしょうか。」

 如月先生にやめた方がいいと言われたことをやる勇気はない。

「どうして?
 彼に迷惑しているのでしょう?
 現に薬の量も増えている。」

 薬が切れると途端に人が怖くなる。
 それは薬を飲み始めて約12時間後。

 朝、6時に飲めば夕方の6時に。
 今朝は橘さんからのモーニングコールを受け取る為に早めに起きて飲んでおいたから、夕方にももう一錠飲んでおいた。

 異常なペースで薬に頼る生活に傾きかけている。

 最近は朝に飲めば家に帰るまでなんとか保っていられて、アパートで一人になればどうにか薬なしでも生活できた。

 1日1錠。
 それを守れたら次のステップと言われていた矢先の出来事だ。

 如月先生が心配するのは当たり前なのは自分でも分かっている。