橘さんはイメージ通り、買い物に迷わないタイプらしくて、ソファはほぼ即決だった。

 黒のカウチソファは肌触りも座り心地も抜群だったし、橘さんのスッキリとした部屋の雰囲気にも合ってそうだ。

 来週の土曜には届くみたいで「真野が病院に行っている間に届いてるかもな」って嬉しそうに橘さんは言った。

 私も楽しみではあるのだけれど……。
 一緒に住むって……本気なのかな。


「次は食事にしよう。」

 そう言われ、連れてこられたのは可愛いレストラン。
 橘さんのイメージとは違うはずだったのに、今の橘さんならスマートに連れてきてくれそうな気さえしていた。

 モテる人ってこと知ってたのに、失念してたなぁ。
 ぼんやりしていると橘さんが椅子まで引いてくれていて慌てて「ありがとうございます」と席についた。

「やっとちゃんと予約したところへ連れてきてやれたな。」

 橘さんは微笑んで私へ甘い顔を向ける。

「私、ここまでしてもらっても何も返せないです。」

「何、言ってんだよ。
 俺が好きでやってるからいいの。
 真野は笑っててくれたらそれで。」

 そんなわけにはいかないよ……。
 そんなの………。