「俺のこと…好きなのか？」

「……はい？」

　素っ頓狂な声をあげた私に橘さんは口元を手で覆って意味不明なことをもごもごと口にした。

「永島のこと妬いてるんだろ？
　って、何、言ってるんだか。
　原因、俺なんだろ？」

「原因って……？」

　私が橘さんに会いたくなくて健太さんと悪口大会をしていた原因？
　いまいち意味を図り兼ねていると橘さんが核心を突く言葉をこぼした。

「真野が、人が怖くなった原因。」

「それは………。」

　まさか橘さんからそんなことを言われるとは思っていなくて言葉を濁していると「ごめん。健太と話してるの聞こえたから」と言われた。

　何を話してたっけ？
　フルスピードで巻き戻してみても、よく思い出せない。

　けれどここまで言われて誤魔化せるほど嘘をつける自信もなくて私は本人に話すべきじゃないと思いつつも話し始めた。