溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】

なるほど、確かに一理あるよね。でも……。


「私を誘ってくださったのは、課長なんですが」

「そうだね。でも、僕も一応男だ、ってことを言っておこうと思って」

「存じ上げているつもりですけど……」

「どうかな」


穂積課長は、微妙に口元を緩めてからビールジョッキに口をつけた。
その表情にはどこか含みがあって、なんだかドキリとしてしまいそうだったから、慌ててレモンサワーに手を伸ばす。


すっきりとした冷たさがやけに心地好くて、ついついゴクゴクと飲み進めてしまう。
セーブしなきゃいけないな、なんてことを頭の片隅で考えたのは一瞬のことで、グラスを置いた時にはすでに半分がなくなっていた。


「あの、考えてみたんですけど」

「ん?」

「課長は、友人のお店でばかなことはしないと思います」

「しないだろうね」


私の結論にすんなりと頷いた穂積課長のことが、よくわからない。
職場での課長しか知らないけれど、こんなにわかりづらい人だっただろうか。