溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】

「もともと、ここは従業員の控室だったからね」

「詳しいんですね」

「まぁ、学生時代からの知り合いだから」

「そうなんですか」


穂積課長と店長さんのやり取りを思い出し、その言葉に納得した。
ふたりの感じから知り合いなのはわかっていたけれど、学生時代からの関係となればあの雰囲気にも頷ける。


そういえば、課長も随分フランクな話し方だったような気がする。

ふたり、結構仲いいんじゃないかな? 早く帰ることで頭がいっぱいだったから、あんまり覚えてないけど……。


「物置みたいな部屋だけど、お酒と料理は美味しいから遠慮せずに食べてね」

「ありが––」

「おいこら、物置とはなんだ」


穂積課長の冗談にクスッと笑った私の言葉は、部屋に入って来た店長さんに遮られた。


「あながち間違ってないよ」

「もうここ使わせてやらねーぞ」

「客は選ばない方がいいと思うけど」


差し出されたレモンサワーのグラスを受け取ってふたりの会話の行方を楽しんでいると、店長さんが「好きに言ってろ」と鼻で笑った。