溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】

なにを隠そう、私は甘えられると弱いのだ。

穂積課長は別に甘えたわけじゃないのだろうけれど、あの微笑みには私を頷かせるだけの効果はあった。
だいたい、あの癒し系の課長に可愛く誘われて、断る部下はあまりいないと思う。


課長のファンの人たちなら、めちゃくちゃ喜ぶんだろうな。っていうか、バレたら妬まれるんじゃ……。


途端に不安になって、もし会社の人たちに見られたら……と良くない想像が働いたけれど、今更断るわけにはいかない。
こぢんまりした店内には、死角になる席もいざという時に隠れられる場所もなくて一瞬不安になったけれど、穂積課長の言葉ですぐに安心できた。


「僕、個室にいるんだけど、青山さんがこっちに来る? それとも、僕がここに移動して来ようか?」

「私が行きます! ぜひ、個室に行きたいです!」


決して他意のない選択だったけれど、言い方でもおかしかったのか店長さんがブッと噴き出して吹き出して「青山さんおもしろいねー」とケラケラと笑い、課長はなぜか困り顔をしていた。