「青山さん、まだ時間ある? よかったらご馳走するよ」
私を呼び止めた穂積課長は、予想に反したことを言い出した。
一瞬思考が働かなくなって、伝票を持とうとしていた手が止まる。
え、どうして? 店長さんとなんか話してた気もするけど、なんでそんな展開になってるの?
「青山さん、せっかくだから奢ってもらいなよ」
「い、いえ! もうお腹いっぱいですし!」
上司からの誘いに対する断り文句が『お腹いっぱい』って、ありえないと思う。
せめて、もう少しマシな言い訳があったはずなのに。
「無理強いはしないけど、せっかく会えたんだし、一杯くらいならどう?」
あ、可愛い。
首を傾けて微笑む仕草はまるで恋人に甘えるかのようで、自然とそんな風に感じてしまった。
「えっと……」
胸の奥をくすぐるような仕草と優しい声には従いたくなって、気がつけば「じゃあ、一杯だけ」なんて有り触れた台詞を素直に零していた。
私を呼び止めた穂積課長は、予想に反したことを言い出した。
一瞬思考が働かなくなって、伝票を持とうとしていた手が止まる。
え、どうして? 店長さんとなんか話してた気もするけど、なんでそんな展開になってるの?
「青山さん、せっかくだから奢ってもらいなよ」
「い、いえ! もうお腹いっぱいですし!」
上司からの誘いに対する断り文句が『お腹いっぱい』って、ありえないと思う。
せめて、もう少しマシな言い訳があったはずなのに。
「無理強いはしないけど、せっかく会えたんだし、一杯くらいならどう?」
あ、可愛い。
首を傾けて微笑む仕草はまるで恋人に甘えるかのようで、自然とそんな風に感じてしまった。
「えっと……」
胸の奥をくすぐるような仕草と優しい声には従いたくなって、気がつけば「じゃあ、一杯だけ」なんて有り触れた台詞を素直に零していた。



