「いえ、特に困っていることもありませんし……」
「そう?」
「はい。それに、そろそろ帰ろうと思っていたところですから」
「そうなの? でも、お前はいいのか?」
言い終わってすぐにいそいそと帰り支度を始めると、店長さんはなんだかがっかりしたような顔になったあとで、穂積課長に意味ありげな視線を向けた。
その真意はわからないけれど、今はそれよりも立ち去ることを考えた方がいいような気がする。
無理無理! 絶対に無理!
ふたりきりなんて間が持たないって! だいたい、上司と飲んだら仕事の話になっちゃうじゃない!
飲み会でもないのに、なにが悲しくて週末の夜に仕事の話なんてしなければいけないのだろう。
穂積課長だって、なにもわざわざ部下と飲みたくはないはず。
常連みたいだし、ひとりで来ているくらいだから、もしかしたらお気に入りのお店なのかもしれない。それならきっと、なおのこと私は速やかに帰るべきだ。
だけど──。
「そう?」
「はい。それに、そろそろ帰ろうと思っていたところですから」
「そうなの? でも、お前はいいのか?」
言い終わってすぐにいそいそと帰り支度を始めると、店長さんはなんだかがっかりしたような顔になったあとで、穂積課長に意味ありげな視線を向けた。
その真意はわからないけれど、今はそれよりも立ち去ることを考えた方がいいような気がする。
無理無理! 絶対に無理!
ふたりきりなんて間が持たないって! だいたい、上司と飲んだら仕事の話になっちゃうじゃない!
飲み会でもないのに、なにが悲しくて週末の夜に仕事の話なんてしなければいけないのだろう。
穂積課長だって、なにもわざわざ部下と飲みたくはないはず。
常連みたいだし、ひとりで来ているくらいだから、もしかしたらお気に入りのお店なのかもしれない。それならきっと、なおのこと私は速やかに帰るべきだ。
だけど──。



