溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】

「知り合い?」

「あぁ、部下だよ」

「ふーん。それはそれは」


穂積課長の答えに含みのある笑みを浮かべた店長さんは、ふたりの様子を窺っていた私を見た。
同時ににっこりとされて、ついつられてしまう。


「青山です」

「ご丁寧にありがとうございます。店長の加藤(かとう)です」


会釈をした私に、店長さんはほんの一瞬目を見開いたあとで名乗ってくれた。
元康というのは、きっとこの人の名前なのだろう。


「よかったら、一緒に飲んだらどうですか」

「え?」


それって、課長と……ってことだよね? なんで?


「おい、元康」

「仕事の相談とかあるんじゃない? こいつもひとりだから、いろいろ愚痴れるチャンスだよ」


止めに入った穂積課長のことなんてお構いなしに、店長さんが話を進めようとするからギョッとした。


課長のことは尊敬しているし、優しくていい人だとは思っているけれど、ふたりきりなんて間が持たない。
お互い気を遣いながら飲むなんて楽しくないし、このまま帰る方がいいに決まっている。