カウンターの一番奥に座っているのは私で、その奥にはトイレしかなかったはず。
テーブルにいるお客さんの声なら後ろから聞こえて来るはずだと、不思議に思って左側を見上げる。
すると、すぐ傍には予想だにしない人が立っていて、思わず目を丸くしてしまった。
「あ、悪い。忘れてた」
「お前なー……最近、俺の扱いが雑なんだよ」
「悪いって」
「お前、俺のこと客だと思ってないだろ」
いつもと話し方は違うけれど、毎日のように会っている人を見間違えるはずはない。
笑いながら話す店長さんと呆れたような顔をしている人を交互に見たあとで、つい勢い余って立ち上がった。
「穂積課長!?」
「え?」
驚き混じりの声とともに振り向いたのはやっぱり穂積課長で、思わず笑顔になる。
だけど──。
「青山さん……」
課長は私だと気づいた直後になぜか気まずそうな顔つきになって、あの優しい癒しの微笑みが向けられることはなかった。
テーブルにいるお客さんの声なら後ろから聞こえて来るはずだと、不思議に思って左側を見上げる。
すると、すぐ傍には予想だにしない人が立っていて、思わず目を丸くしてしまった。
「あ、悪い。忘れてた」
「お前なー……最近、俺の扱いが雑なんだよ」
「悪いって」
「お前、俺のこと客だと思ってないだろ」
いつもと話し方は違うけれど、毎日のように会っている人を見間違えるはずはない。
笑いながら話す店長さんと呆れたような顔をしている人を交互に見たあとで、つい勢い余って立ち上がった。
「穂積課長!?」
「え?」
驚き混じりの声とともに振り向いたのはやっぱり穂積課長で、思わず笑顔になる。
だけど──。
「青山さん……」
課長は私だと気づいた直後になぜか気まずそうな顔つきになって、あの優しい癒しの微笑みが向けられることはなかった。



