溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】

そういえば……二宮くん、あの時なにか言い掛けてたよね? なんだったんだろう?


お刺身に舌鼓を打ちながら、ふと思い出したのはそんなこと。
川井さんが来たから二宮くんは言葉を飲み込んだのだろうけれど、彼は確かになにかを言い掛けていた。


まぁいっか。あのあとはなにも言って来なかったし、急いでるならメールくれるよね?


ひとりで勝手に解決したあとはお酒と料理を満喫して、時々話し掛けてくれる店長さんと他愛のない会話をしたりして、楽しく過ごしていた。
最初はちょっと吞んだら帰るつもりだったのに、居心地のよさが私を引き留める。


すっかり長居したことに気づいたのは、なにげなく振り返って見上げた先にあった壁掛け時計が二十一時前を指していたから。


元康(もとやす)、さっき頼んだビールは?」


ひとりで二時間以上も吞んでいたことに驚き、さすがにそろそろ帰ろうかと考えていると、聞いたことがあるような声が左側から聞こえて来た。