もし、私が穂積課長に恋をしていたら、残りの業務はあっという間に終わらせてしまえるかもしれないな、なんて思いながら自分のデスクに戻った。
淹れたてのコーヒーを飲み、ホッと息をつく。
ふと斜め前を見れば、二宮くんはまだ川井さんに捕まっている。
「今夜こそ付き合ってよ! 二宮くん、いっつも断るんだから! たまには飲みに行こうよ。ね?」
どうやら今夜の予定を訊かれているようだったけれど、「先約があるので」と申し訳なさそうにしながらもきっぱりと断っていて、彼女は肩を落としてその場を離れた。
それが彼の方便だとわかっている私は、チョコレートを食べながらついつい笑いそうになる。
直後に二宮くんと目が合って、彼が私の気持ちを見透かすように唇に人差し指を当てて『内緒ね』というジェスチャーをして来たから、とうとう小さく噴き出してしまった。
そのあとでこっそり頷いて見せると、さりげなくいつもの人懐っこい笑顔が向けられた。
淹れたてのコーヒーを飲み、ホッと息をつく。
ふと斜め前を見れば、二宮くんはまだ川井さんに捕まっている。
「今夜こそ付き合ってよ! 二宮くん、いっつも断るんだから! たまには飲みに行こうよ。ね?」
どうやら今夜の予定を訊かれているようだったけれど、「先約があるので」と申し訳なさそうにしながらもきっぱりと断っていて、彼女は肩を落としてその場を離れた。
それが彼の方便だとわかっている私は、チョコレートを食べながらついつい笑いそうになる。
直後に二宮くんと目が合って、彼が私の気持ちを見透かすように唇に人差し指を当てて『内緒ね』というジェスチャーをして来たから、とうとう小さく噴き出してしまった。
そのあとでこっそり頷いて見せると、さりげなくいつもの人懐っこい笑顔が向けられた。



