溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】

「俺たちはビールで、莉緒ちゃんはレモンサワーでしょ?」

「私たちの分まで頼んでくれてるの? ありがとう」

「私が言ったのよ。莉緒はどうせレモンサワーだし、二宮は私たちを待ってるだろうから、飲み物だけ頼んでおいてって」

「そういうこと。食べ物はなににする? お腹空いてるでしょ?」


メニューを開いて渡してくれた二宮くんは、「おすすめはいくつか頼んでおいたよ」と瞳を緩める。
彼といい、多恵といい、本当によく気が利くと思う。


「場所はちょっとわかり難かったけど、雰囲気はいいわね」

「だろ? 会社の人もあんまり来ないみたいだし、穴場だと思う」

「駅から反対方向だし、仕事帰りに寄る機会はあんまりないからじゃない? 駅に向かう途中にお店はたくさんあるし、うちの人間ならそっちに行くでしょ」


感心する私を余所に、ふたりはそんな会話を交わしていた。
多恵は対象外なんて言っているけれど、もし彼女に恭輔くんという恋人がいなければ、二宮くんとお似合いだと思う。


そんなことを考えていると、料理と飲み物が運ばれてきた。