溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】

ふたりで店内に入ると、大学生くらいの店員さんが「いらっしゃいませー!」と明るい声で出迎えてくれた。
多恵が待ち合わせしていることを伝えると、すぐに案内された。


テーブル席はそれぞれに暖簾が掛かっていて、通路を歩いている私たちからはお客さんの顔は見えない。
これなら、ゆっくり寛げそうだ。


「あ、お疲れさま」


案内されたテーブルの暖簾を店員さんが上げると、手前の席に座っていた二宮くんがふわりと微笑んだ。
彼の癒し系な表情に笑みを返しながら、彼女とふたりで奥の席に座った。


「待たせちゃってごめんね」

「そんなに待ってないよ」

「でも、二十分くらい待ってくれてたよね?」

「平気だって。それより、ここの場所はすぐにわかった?」

「うん、多恵のおかげで迷わなかったよ」


二宮くんと話している私の隣で、多恵がおしぼりで手を拭きながら笑った。
その流れで「飲み物は?」と訊いた彼女に、彼が「もう頼んでおいたよ」と笑顔で答える。