「そんなことないわよ。それに、莉緒は引っ張ってくれるような人の方が合ってると思うし、二宮みたいに上手にリードしてくれる人っていいと思うよ」
「多恵が二宮くんのことをそんな風に言うの、珍しいね」
「私は、二宮のことは対象外ってだけで、基本的にはいい奴だとは思ってるもの。莉緒は自己評価が低いところがあるし、二宮くらい前向きな人間といる方がいいんじゃないかと思うのよね。ってことで、どう?」
「どうって……。二宮くんは同期の中では仲がいいけど、それだけだよ。多恵だって知ってるでしょ? だいたい、二宮くんがいないのに勝手になに言ってるの」
「あっちは満更でもないんじゃない?」
「そんなわけないよ」
「もう……」とため息をつくと、多恵が肩を竦めるようにして再び苦笑した。
それから、「まぁ仕方ないか」と独り言のように零した彼女に小首を傾げたけれど、その言葉の真意はわからなかった。
「あ、ここじゃないかな」
直後、多恵が足を止めたお店の前には、聞いていた店名と同じ名前の看板が立っていた。
「多恵が二宮くんのことをそんな風に言うの、珍しいね」
「私は、二宮のことは対象外ってだけで、基本的にはいい奴だとは思ってるもの。莉緒は自己評価が低いところがあるし、二宮くらい前向きな人間といる方がいいんじゃないかと思うのよね。ってことで、どう?」
「どうって……。二宮くんは同期の中では仲がいいけど、それだけだよ。多恵だって知ってるでしょ? だいたい、二宮くんがいないのに勝手になに言ってるの」
「あっちは満更でもないんじゃない?」
「そんなわけないよ」
「もう……」とため息をつくと、多恵が肩を竦めるようにして再び苦笑した。
それから、「まぁ仕方ないか」と独り言のように零した彼女に小首を傾げたけれど、その言葉の真意はわからなかった。
「あ、ここじゃないかな」
直後、多恵が足を止めたお店の前には、聞いていた店名と同じ名前の看板が立っていた。



