ますます理解できない。
「じゃあ、今日はお互いかんばろうね!」
彼女は本当に満足したらしく、スッキリした顔で登っていった。
……そうか、そういうことだったんだ。
叶花が教室に来なくなった理由が、なんとなくわかった。
俺はグラウンドに着くと、叶花の姿を探した。
だが、何百人といる中で、叶花を見つけるのは至難の業。
そのうち開会式の時間となり、入場門のところに整列するよう指示が出た。
どこを見ても、見つからない。
そして行進が始まった。
入場門をくぐり、放送席の前を……
「……いた」
叶花は、放送席付近のテントの下にいた。
見つかるわけなかった。
叶花は昔していたツインテールに、黄色のはちまきを工夫して上のほうでリボンを作っていた。
そして楽しそうに行進を見ている。
歩くだけの競技、なにが楽しいのかさっぱりわからない。
そして開会式が終わり、最初の競技が行われる。



