「しつこいくらい、さくらが付きまとってきます」
……俺の代わりになったってことか。
「嫌か?」
「あのテンションが、ずっといるんですよ?」
たしかに嫌だな。
俺の場合、叶花のテンションを流すから、そのうち黙ってくれる。
だが、こっこはそんなことできないんだろうな。
「喧嘩してるなら、早く仲直りしてください」
そしてこっこはそれだけを言うと、先に行ってしまった。
仲直り、ね……
「浅賀くん」
今度は君か。
彼女は俺の横を並んで歩く。
「小夏ちゃんと、なに話してたの?」
「……別に」
言うことじゃないと思った……わけじゃなく。
なぜか彼女と話すのは苦手で、一刻も早く終わらせたかった。
「……浅賀くん、私には冷たいよね?」
彼女の声に、悲しみの色が見えた。
俺がそれで心が痛むようなやつなら、もっとたくさんのいい人間関係が築けてきたことだろう。
ただでさえ愛想がよくない俺が、苦手な相手に愛想を振りまくことなんて、出来るわけない。
「私のこと、嫌い?」
……出た。
恋愛方向の話。
わからないことを適当には言えなくて、俺は結局黙った。