一週間後、体育祭本番を迎えた。
割と急な坂道を登り、第二グラウンドに行く。
「浅賀先輩」
その途中、こっこに呼ばれた。
横を見れば、黄色のはちまきをカチューシャのように巻き、後ろはリボン結びになっている。
ボブカットだからできる巻き方。
暑くないのかと、ものすごく思う。
……て、叶花がいない。
「さくらは先生の車に乗って上がってくるそうです」
俺の顔に書いてあったのかわからないが、そう教えてくれた。
この程度もダメなのか、叶花は。
登下校は自転車も歩きもダメってことで、毎日理香子さんが送り迎えをしている。
まさか大して長くない坂道も車とは。
「て、そんなことはどうでもよくて。先輩、さくらと喧嘩でもしたんですか?」
……果たしてあれは喧嘩だったのか。
なにかを考えるために、叶花は一人になったと、俺は思ったが。
「なんかあったのか?」