「だよね」
安心したのか落ち込んでいるのか、表情は見えず、その声色だけでは判断できなかった。
「お前がそんなこと言うから、ショック受けてるじゃん」
……お前は黙っててくれ。
「高城先輩、違うからやめて? 蓮くん、また来るね」
作り笑いを浮かべて、叶花は教室を出ていった。
「俺の予想、違ったのか……? 蓮、否定しなかったじゃん」
叶花の反応が予想外だったのか、やつは動揺を見せた。
「肯定してない」
「……なんでそこまで隠すんだよ」
俺たちの出会い、関係を話せば、恋愛方向に持っていくだろ。
それに、その話をすれば、叶花の病気のことに触れなきゃならない。
人の言いたくないことを、本人がいないところで話す趣味はない。
「俺とお前はそこまで仲良くないだろ。俺たちのことをどう言おうが構わないが、それを聞かせないでくれ」
叶花が聞いて落ち込むのなら、俺はそれを阻止するまで。
「……わかった」
この日以来、あいつが絡んでくることはおろか、叶花が教室に来ることもなくなった。