……俺も思わない。
だが、少しくらい信じる素振りを見せてくれてもよくないか。
「それで、どうして?」
結局聞いてくるのか。
「あいつと話して疲れた。それだけだ」
「あいつって……高城先輩? もう、蓮くん、本当に人の名前覚えないね。相手を呼べなかったら、話ができないよ?」
もしそうだとして、あいつと会話をする気はない。
第一、名前を覚えていなくても、一対一ならなんとかなる。
「なになに、俺の話?」
すると、横からやつが割り込んできた。
呼んでないから、来なくていい。
「高城先輩と蓮くんが、なんの話をしてたのかって聞いてたんです」
そんなことを聞かれた記憶はない。
だが、たぶん次の質問はそれだったんだろう。
「ちょっとした恋愛トークだよ」
……女子か。
それに、お前が勝手に話して、勝手に完結させただろ。
どこがトークだ。
「蓮くんと……? 蓮くん、恋愛に興味あったっけ?」
「一ミリもない」