「……わかったよ。花見する」
ここまでされて、まだ帰るだなんて言えば、わがままを言っているのは俺ということになる。
それに、なにを言ったって、全員こいつに合わせるんだ。
「やったあ! じゃあ、れんくんは叶花の最初のお友達だね!」
手を握られ、痛いくらい勢いよく上下に振られた。
友達になった覚えはないんだけど。
そう反論するより先に、急にその動きは止まり、手が離れた。
そして、目の前にいたはずのあいつが視界から消えた。
「カナ!」
「叶花ちゃん!」
大人二人が大声を出し、真っ青な顔でそいつに駆け寄る。
倒れた、のか……?
俺のせい、なのか……?
「母さん、俺……」
「ごめん、蓮! あとにして!」
母さんは俺を押しのけた。
俺が邪魔らしい。
「蓮くん」
大人しく帰っていようと思ったら、あいつの父親に止められた。