「すみれ先輩! こんにちは!」
叶花は犬のように駆け寄った。
「遅かったね、笠原」
「応援団に入ったので。これからしばらく来られなくなります」
彼女は叶花の頭を撫でながら、先輩に返した。
応援団か。
あんなもの、よくやる気になるな。
「すみれ先輩、応援団ってなに?」
できないのに、やる気だけあるやつがいたな。
変わってやりたい。
「叶花ちゃん、説明聞いてなかったの? 応援合戦のときにダンスをするんだけど、それを考えたり、教えたりするの」
「楽しそう!」
叶花は本当に興味を持ったらしい。
……お前はできないだろ。
それに、関係ないってわかっていたから、説明を聞いていなかったくせに。
「叶花ちゃんなら、やると思ってたな」
その言葉で、叶花の表情が一瞬曇った。
「……へへ?」
誤魔化し方が下手にも程がある。
彼女も、不思議そうにしている。
……本当、バカ。
「叶花、何隊になったんだ?」
……たく、なんで俺がこんな助け舟を出さなきゃいけないんだ。



