そう言って見せる彼女の笑みに、俺は思わず苦笑した。
「あー! こっこと蓮くんが仲良くしてる! ダメだよ、蓮くん! 私のこっこ、取っちゃダメ!」
すると、先輩と話していたはずの叶花が、後輩に抱きついた。
「私、さくらのものになった覚えないよ」
そして、冷静に叶花を押し離す後輩。
この二人、見てて面白い。
「そうだ、先輩。名前覚えられないなら、こっこでいいですよ」
「……なんで?」
「呼べなかったら不便だと思ったので」
呼ぶ機会がないと思ってるから、覚えないんだけど、とは言わないでおくか。
「じゃあお言葉に甘えて」
この会話を、こっこの後ろで聞いていた叶花は、頬を膨らませている。
さっきのことがあるから、口を出さないってとこか。
「こんにちは」
叶花の面白い顔を見ていたら、同じクラスの……女子生徒が入ってきた。



