「部員は、先輩お一人ですか?」
ドアを閉め、活動について説明を聞いたのち、後輩が聞いた。
言われてみれば、放課後になって結構時間が経つのに、誰も来ない。
「基本幽霊部員か、兼部してるかだよ」
「蓮くん、幽霊が部員なの?」
先輩の言葉を聞いて、叶花は真剣に聞いてきた。
天然か。
はたまた、ただの世間知らずか。
「部活に来ない人のことを、幽霊部員って言うんだ」
先輩の説明に、叶花は納得したようだ。
幽霊部員……
その手があった。
「兼部は三年で一人、二年で二人いるよ」
そのうちの一人が、あの人だろう。
あの日、俺に美術部興味ないかと聞いていながら、美術部じゃなかったら、逆におかしいと思う。
そして質問が終わったのか、後輩は本を開いた。
「古藤さん、なに読んでるの?」
すると、後輩は叶花を睨みつけた。
言いたいことを、ストレートに目で語っている。
「あのね、古藤さん。読書するだけなら、図書室でしたら?」



