本当にはっきり言う人だな。
いっそ、清々しい。
「古藤さん、だっけ? 櫻木さんは」
後輩の態度が見ていられなかったのか、先輩が口を挟んできた。
「雨宮先輩、私の言ったこと、覚えてます?」
だけど、それにさらに被せるように、叶花が言った。
おお。
敬語をちゃんと使えてる。
そして何気に怒ってるな。
叶花に怒られた先輩は、申しわけなさそうに視線を落とした。
「……ごめん。それで君、新入生だよね?」
「そうですけど、なにか?」
先輩に対する態度も変わりなし。
同級生……てことになってる叶花への態度は、まだわかる。
だが、先輩となると、ただ失礼な態度を取っていることになる。
真面目が空回りでもしたか。
「新入生の子に、文芸部を語ってほしくないってのが、俺の本音かな」
「……すみませんでした」
優しい口調なのに、怒っていることがなんとなく伝わってきた。
それを感じ取ったのか、彼女は素直に謝った。
「櫻木さんも、古藤さんも、レンくんも大歓迎だよ。文芸部へようこそ」
そして先輩は最初に見せてくれた、歓迎の笑顔を浮かべた。
……さらっと入れられた。
本格的に逃げられなくなった。



