こいつは……
「そうなの?」
……せめて、そんな質問をしてくるのは一人にしてくれ。
「部活見学」
「蓮、部活入るんだ?」
不可抗力だ。
「叶花ちゃん、水曜日だって主張してたから……文芸部か茶道部のどっちかだな」
そいつは探偵を気取るように、顎に手を当てて言った。
……どうしてそんなに詳しいんだ。
俺は文芸部がなにするか知らなかったし、茶道部の存在なんて、今知った。
「で、どっちだ?」
そいつは机に座り、空の紙パックを置いた。
知ってどうするんだ。
「浅賀くん、櫻木さんと一緒に部活に入るの?」
すると、横からも質問が飛んできた。
こういう質問のされ方は嫌いだ。
どっちの質問に答えればいいか、わからなくなる。
……答える気はさらさらないが。
無視をしておけば、そのうち昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。
それを待つ。
「蓮、聞こえてんだろー?」
「浅賀くん」
……しつこい、うるさい、静かにしろ。
そう思ったとき、チャイムが鳴り、二人は諦めてくれた。