「私、蓮くんがいつもどうやって写真撮ってるのか見たい!」
「は?」
このわがまま娘はなにを言い出す。
今から入学式だっていうのに、そんな時間あるのか?
「一枚でいいから! お願い!」
すると、叶花の願いを聞けと言わんばかりに、母さんが俺にカメラを渡してきた。
俺はため息をつき、カメラを受け取る。
しばらく桜や周りの景色を眺める。
……ここだな。
そして俺は一度、シャッターを切った。
「蓮くん、かっこ……」
「浅賀くん、写真好きなの!?」
すると、叶花の声に被せるように、誰かがそう言った。
興奮気味なのか、叶花ほどではないにしろ、顔が近い。
「えっと……」
「あ、ごめんなさい……」
自分がしていることに気付いたのか、彼女はおずおずと俺から距離を取った。
「お姉さん、誰?」
……確実にお前のほうが年上だよ。
と、心の中で突っ込んでおく。



