翌朝、現像した写真を持って、叶花の病室に向かった。
ドアを開けると、またいつものように元気な声で迎えられると思ったら、なにも言われなかった。
部屋を間違えたかと思って壁の名前を確認するが、ちゃんと『櫻木叶花』と書かれている。
まだ寝てんのか?
そう思いながら中に入る。
「……は?」
叶花は部屋どころかベッドにもいなかった。
退院はまだしていないはずだ。
母さんはもうすぐできるって言っていた。
そもそも、これだけ叶花の荷物を残しておいて、退院はおかしい。
てことは、どこかに出かけているのか?
どこに?
いや、コンビニがあるじゃないか。
そこに行っているんだろう。
そう結論づけ、いつもの場所に座ろうとした。
俺が座る場所は窓辺。
……バカがいる。
俺は呆れながらカーテンを開ける。
「なにやって……」
たしかに叶花はそこにいた。