男の人は、変な笑顔をしている。
そんなに驚くこと……いや、普段見ているのがあのバカなら、納得だ。
「れんくん!」
ぐっと顔を近づけて来た。
距離は十センチあるかないかくらい。
とにかく、近い。
「叶花と遊ぼう! お花、見よう!」
「俺は……」
知らない家族に混じってまで、花見をする気はない。
だから、断ろうと思ったのに。
こいつの目は、そうさせようとしない。
「カナ、近いよ。でも蓮くん、もしよかったら一緒にどうかな?」
男の人が引き離してくれたけど、誘いは変わらなかった。
ここでも、俺の意思は……
「あ、ごめんごめん。無理に誘ってるんじゃないんだ。嫌なら、嫌って言っても……」
「れんくん、イヤなの?」
だから、その目をやめてくれ。
「叶花、少し落ち着いて。いきなり知らない人との花見を、無理強い……強制……絶対にしろ、なんて言えないよ」
男の人はあいつが首を傾げたもんだから、何度も言い直した。



