高さが違うのは気になったが、俺は目を逸らした。
「……泣いてない。そもそも、誰」
「叶花? 叶花は、櫻木叶花だよ! えっと……七歳!」
なんとなく、バカだと思った。
そして、歳上だったことに驚く。
というか……これも一人なのか?
「こら、カナ。走るなって言っただろ」
……違った。
大きな荷物を抱えて来た男の人が、俺たちのそばでかがんだ。
「パパ、叶花ね、走ってない!」
「はいはい」
そんなやり取りを横目に、俺はまた川を眺める。
「ねえ、パパ。この子、迷子みたいなの」
……は?
余計なこと、言うなよ。
「そうなのか? 君、名前と年は?」
ここで無視なんて、できないだろう。
たとえしても、このバカが捕まえに来るだろうし。
「……浅賀蓮。六歳」
「驚いたな……蓮くん、しっかりしてるね」