叶花がいなくなって二ヶ月が経ち、冬休みになった。


俺は早々に課題を終わらせ、毎日のように叶花のアルバムを持って、スポーツ公園のコスモス畑に来ていた。



当然、コスモスはもう咲いていない。


だけど、なんとなく、ここに来れば叶花がいるんじゃないかと思って……



「またあきざくら見てる!」



コスモスのページを開き、空を眺めていたら、叶花の懐かしい声が頭に響いた。


叶花は俺の目の前に立ち、開きっぱなしのアルバムを覗き込んでいた。



「蓮くん、嫌いじゃなかった?」



……ああ、嫌いさ。


あきざくら。



叶花の姿が俺にしか見えてないことくらい、ちゃんとわかってる。


もしかしたら、これは俺の作りだした幻影なのかもしれない。



だから、心の中でそう返す。



「だったら、どうして見てるの?」



俺が見ているのはあきざくらじゃない。


コスモスだ。



「同じ花だよ」



言い方が違うだろ。



「ふふ。一緒だよ」