俺の力……?
そんなもの、一つもない。
全部、叶花のおかげだ。
「実際、私とだって、先輩が歩み寄ってくれたから、関わるようになりました。私は自分から行くことはしませんし、男ならなおさら。だから、今の私たちがあるのは、先輩の力なんです。なのに、どうして否定するんですか」
そう言って睨んできたこっこの目には、涙が浮かんでいた。
こっこの言葉、涙に俺が動揺した。
すると、こっこは手に持っていた紙袋を俺の胸に押し付けてきた。
俺が手を出すまで、こっこはこれでもかというほど、押し付ける。
俺が受け取ると、こっこは自由になった両手で、流れそうな涙を拭った。
「これ、さくらが自分が死んですぐ先輩に渡せって。さくらは、こうなることがわかってたみたいです」
叶花が……
俺は中身を確認する。
入っていたのは、五冊程度のアルバムだった。
叶花が俺の写真で作製した、オリジナルアルバム。