翌朝、キッチンに残されていたスープを温め、一杯だけ飲んだ。


決して、寝坊して慌ててた心を落ち着かせるため、ではない。


さすがに小腹が空いただけ。



母さんは朝早くから仕事だったらしく、家にはいなかった。



服を着替え、こっこが指定してきた場所に向かう。



予想通り歩くスピードはいつもより遅かった。


早めに出てよかった。



そして数十分後に到着したが、こっこはまだ来ていなかった。



あのときと同じように、橋の下を眺める。


あの日は賑やかだった河原も静かで、川の流れる音が心地いい。



ときどき自転車の音が後ろを通るけど、ほとんど人通りがない。



……やるなら、今か。



「先輩!」



手すりに手をかけたとき、こっこの声が耳に響いた。



そして、俺は首根っこを掴まれ、力任せに後ろに引っ張られた。



「なにしてるんですか!」



こっこの必死な顔に、馬鹿なことをしたと思った。