彼女はそっと、叶花の左手を握った。



そのとき、叶花が薄らと目を開けた。



「叶花ちゃん!」


「あれ……すみれちゃんだあ……雨宮くんも、高城くんもいる……」



叶花は目に入る人物、一人一人呼んでいった。



「蓮くんにこっこ。お兄ちゃんとお母さん。勢揃いだねー……」



こんなときでも変わらない叶花なのに、今にも消えてしまいそうな声に、全員涙腺を壊される。



「カナが目を開けたって!?」



すると、須藤さんや杉崎さん、母さんが入ってきた。



「椿ちゃん、芽生ちゃん、瞳ちゃん……私、嬉しいなあ……みんなに会えて」



そして見事に、三人とも涙を流した。



杉崎さんは堪えようとしていたけど、重力に逆らえなかったというように、涙が落ちた。



「みんな、泣いてる……」



その悲しげな声に、俺やこっこ、母さんたちはしまったと思うけど、笑うことなんて出来るわけなかった。



「……みんな、ありがとう」