「さ、二人とも。もう暗いから、また明日ね」
叶花に促されて、俺とこっこは荷物を持って立つ。
「またね」
「それじゃ、明日」
俺たちはそう言って、病室を出た。
本音は、帰りたくない。
もっと叶花と話したりしたい。
それは俺もこっこも、叶花も同じ。
だが、叶花に無理はさせられない。
叶花は日に日に弱ってるが、その姿を俺たちに見せたことはない。
どうしても、俺たちには元気なところを見せたいらしい。
そこは、いつまで経っても変わってなかった。
「先輩、さくらが泣いてるとこ、見たことありますか?」
暗くなってるから、俺はこっこを送るために隣を歩いていたら、そんなことを聞かれた。
「……なんで?」
「なんとなく……さくら、泣いてるんじゃないかと思って」
まあそう思うよな。
叶花が泣いてるところ、か……
「最近は全く見てないが、見たことはある」



