「桜は咲く場所が決まってるじゃん? ここでしか咲けない、みたいな。でも、あきざくらは違う。どんな場所でも咲くことが出来る。その自由さがいいなって思ったの」



初めて聞く理由に、俺は真剣に耳を傾けた。



「どこでも咲ける花は、コスモス以外にもあるよ」


「うん、あるね。でも私はあきざくらがいい」



叶花の言葉にこっこは首を傾げた。


俺も、どうして叶花がここまでコスモスにこだわるのか、知らない。



「私の中で、桜は特別なの」



だから、桜って文字が入ってるコスモスにこだわる、と。



やっぱりわからない。


まあ俺の場合、そもそも花に興味ないから、どれだけ聞いても理解できないだろうな。



「あとね、蓮くんが見に行ける花でしょ?」



……そんなことを考えていたのか。



たしかに、気軽に足を運べる場所なら、叶花が見たいと言えば、俺は行くだろうな。



「そこ、関係あるの?」


「ふふ、それはヒミツだよ」



叶花は右手で人差し指を出し、口に当てた。