「お兄ちゃんたちとは、ちゃんと話してきたから……大丈夫だよ」
なにが、とは聞けなかった。
理香子さんにあれだけ聞いておいて、聞けるわけない。
「蓮くん。ずっと、私の隣にいてくれて、ありがとう」
「こっちこそ、いさせてくれてありがとう。なにも出来なくて、ごめん」
そう返すと、叶花は笑い声を零した。
そのせいでなんだか恥ずかしくなり、叶花を睨んだ。
「ごめんごめん。だって蓮くん、子供みたいなんだもん」
「……ガキだよ。人の気持ちも考えられない、最悪なガキだ」
「そんなことないよ。蓮くんは、優しい人」
子恥ずかしくなるようなことばかり並べやがって。
「……叶花がいなくなるなんて、嫌だ」
「そう言われても……人はいつか死ぬんだし」
……そういうことじゃないんだよ。
「ねえ、蓮くん。私、楽しい話がしたいな」
どうしてこんなときに。
……いや、こんなときだからこそ、か。



