「秋穂、これ」



そして、こっこは少女に座布団のようなものを渡した。



これは、階段のほうから来ないと持ってこられないもの。


今から滑ろうとするすべり台では、必須だ。



摩擦でかなり熱くなるから。



「ありがとう!」



少女はそれを手に、階段を上る。



「ほら、先輩も」



どこまでも人任せにしやがって。



こっこは一つしか持ってこなかったってことは、あの子を乗せて、滑ってこいってことだろ。



……姉としてどうなんだ。



なんて思いながら、階段を上った。



「カレンくん、はい!」



少女はまだ滑ってなくて、俺に座布団のようなものを押し付けてきた。



……カレン呼びは定着したか。



「楽しみだねー!」



そうはしゃぐ少女を抱え、俺はすべり台を滑った。



ちょっとした山のようなところがあったり、くるくると回ったりと、少女からすれば楽しいであろうすべり台。


終わるまでずっと少女は叫び、これはジェットコースターかと心の中でツッコんだ。