懸命に登っていく少女をただただ見ていたら、いつの間にか隣に立っていたこっこに、そう言われた。
「俺、高二なんだけど」
「子守りなんで、年は関係ないです」
……だったら、ご自分で行かれたらどうですか。
そう言い返したいのに、こっこは早く行けと、目で語った。
ついでに、網のほうに手を流して。
俺はため息をひとつし、少女の後を追う。
坂が終わると少し平坦になり、そこの網の上はトランポリンのように跳ねることが出来る。
一足先に着いた少女は、そこで飛んで遊んでいた。
「あ! おにーちゃん、遅いよ!」
少女が飛んでくれてるおかげで、網がものすごく揺れる。
早く網から降りようと立った俺は、まんまとバランスを崩した。
そのとき、二つの笑い声とシャッター音が聞こえた。
笑い声は少女とこっこのもの。
こっこは階段で上に来たらしい。
「……なにを」
「使っていいって言われたので」
確かに言ったが、撮るタイミングが違うだろ。



