というか、俺が話す隙があるのか。
……たぶんない。
恐らく、俺の時間は大して与えられないだろう。
というか、そもそも、そこまでして解きたい誤解じゃない。
「やっぱり行かないでおく」
「なんで」
俺のたどり着いた結論に納得いかないらしく、叶花は頬をふくらませた。
「俺に変な濡れ衣を着せたあの人と、俺が嫌いな結斗さん。どう考えても、いいほうには転がらない」
「そんなことない」
「じゃあ叶花は、あの人たちが俺に話させると思うか? 話させたとして、俺の話に耳を傾けると思うか?」
叶花は腕を組み、唸った。
そんなわかりやすく悩んでくれなくていい。
すると、なにか閃いたのか顔を上げた。
「どうしよう、蓮くん。お兄ちゃんたちが蓮くんの話を聞くと思えない」
……だから、そう言っただろ。
「そういうわけだから、俺は叶花が戻ってくる時間に合わせて、公園に行っとくよ」
「……わかった」
そして日が傾くまでそこで読書をし、家に帰った。



