「蓮くん、どうしよう!」



翌日病室に入った瞬間、叶花が泣きついてきた。



「なにがあった」



俺は叶花の横を通り、中に入る。



「お兄ちゃん、向こうに戻ったんだって! お母さんが午前中に来て、教えてくれた!」



後ろから深刻そうな雰囲気を感じさせない、明るい声が追ってきた。



仲直りの機会を失ったわけか。



だが、俺にはどうしようもない。



「まだ十月まで一週間はあるのにー……」



叶花はベッドに戻り、項垂れた。



「なんで十月?」


「秋学期、十月からなんだって」



どうしてギリギリまでこっちにいると思ってたんだ。



「でね、蓮くん。明日土曜日でしょ?」



叶花は輝かせた目を見せた。



……嫌な予感、再び。



「お兄ちゃんのとこ、行こう!」



ほらな。


言うと思ったよ。



「断る」


「なんで!?」



逆に、なんで俺が頷くと思ったんだ。