いや、後悔するには早すぎだろ。
「……なんで言ったんだよ」
「だって、話も聞かずに蓮くんを悪者扱いするから!」
だから怒った、と。
俺は無意識に叶花の頭に手を置き、撫でていた。
「お前、いいやつだよなあ……」
「ええ? なにそれー」
叶花は照れ笑いを見せた。
俺は手を離して椅子に座ると、冷静に考えてみる。
「結斗さんの中で、優先順位は叶花が一番だった。だから、あの人が暴走したわけで」
「……うん」
「でも、あの人のことも大切だったんじゃないか」
そう言うと、叶花は首をひねった。
そんなわかりにくいこと、言ったか?
「つまり、お兄ちゃんは亜美さんが好きなんだね?」
「たぶん」
あの人の暴走の仕方と、どこか似てるような気がしたし。
「じゃあ私、言い過ぎちゃった。お兄ちゃんに謝らなきゃ」
「まあ、それは今度に。俺はそろそろ帰る。じゃあな」
「うん、またね!」
そして、俺は病室をあとにした。