いくら俺を嫌っていても、それくらいはわかるはず。
「それでもまだ、蓮くんより亜美さんの言葉を信じるなら、お兄ちゃんはここには来ないで」
……ん?
雲行きが怪しくなったぞ?
これって、あの人が望んでた展開じゃ……
「あの、叶花ちゃん……」
「私、変なこと言った?」
……怖い。
お前、こういう空気嫌いだったろ。
誰かが怒ってる、淀んだ空気。
それなのに、どうして自分で作り出してんだ。
「……わかった。叶花ちゃんがそう言うなら」
「違うよね?」
結斗さんは見たことない叶花に、後退りをする。
「僕は、蓮くんより永瀬さんを、信じる。だから、ここには来ない」
「うん、バイバイ」
叶花がそう言うと、結斗さんは部屋を出ていった。
嘘だろ……
あの叶花が穏便に済まさなかった……
それも、家族相手に。
「蓮くん、どうしよう!」
「……は?」
「お兄ちゃんに、来ないでって言っちゃった!」
我に返ったのかなんだか知らないが、叶花は動揺していた。