すると、叶花はぽかんと口を開けて、俺を見てきた。



「だって、ここで全部吐き出してもらわなきゃ、次は言い合いで済まないかもしれないでしょ?」



……たしかに。



「そんなことも分からなかったのかなあ? 蓮くんってば、おバカ……」


「うるさい」



俺は叶花の頭を小突いた。


叶花はそこを右手でさすった。



「痛いじゃないか」


「そこまで強くしてない」



なんて、いつも通りのやり取りをしていたら、乱暴にドアが開けられた。



入ってきたのは、明らかに怒ってる結斗さん。



結斗さんは部屋に入ってくるなり、俺の胸ぐらを掴んだ。


そして思いっきり睨まれる。



なんか、花火したときと逆になったな。



「お兄ちゃん!? なにを」


「ごめん、叶花ちゃん。少し黙ってて」



あの温厚な結斗さんが、叶花にそんなことを言うなんて。



俺、そんなに怒らせるようなことしたか?


心の中で言ったりはしてたけど、それを結斗さんが知る手段はないわけで。



……心当たりが全くない。